2008年08月24日

こころ / 夏目漱石

book(2008/07/06〜)


こゝろ (角川文庫)



「自分は寂しい人間だ」「恋は罪悪だ」。断片的な言葉の羅列にとまどいながらも、奇妙な友情で結ばれている「先生」と私。ある日、先生から私に遺書が届いた。「あなただけに私の過去を書きたいのです…。」遺書で初めて明かされる先生の過去とは?エゴイズムと罪の意識の狭間で苦しむ先生の姿が克明に描かれた、時代をこえて読み継がれる夏目漱石の最高傑作。


夏目漱石って人の本をはじめて読んだ。なかなか髭がおしゃれで財布を開けたらほぼ毎日其の風貌を確認できるこの人はどんな本を書いたのか。気にはなっていたが、機会がなかった。

有名な作品がいくつもあり、今回読んだ「こころ」もそのひとつ。
これを読む機会を得たのは、ちょうど病院の本棚においてあったからだ。

なんとも暗いストーリーだが心に残り考えさせられた。


本書にでてくる「先生」の過去が描かれる後半は、とにかく切ない。
先生とK、そして居候先の「娘さん」。
男同士の嫉妬が生生しく描かれている。暗く閉ざされた世界。

前半へのストーリーの回帰が巧妙で今まで読んだ本とは少し違った読後感。

それにしても古典文学で名作と呼ばれる作品にでてくる男のキャラクターってのは、なんとも無力で、なにも積極的な行動をしないイメージがある。 なにもせずに苦悩するキャラクターに同感することもあるが、男らしくなくていらいらすることがある。
なんだろう、大衆文学よりも純文学よりなモノがよしとされていたのだろうか。それとも流行がそういったモノだったのか。


もし次に夏目漱石の本を読む機会があるならば、「草枕」を読んでみたい。冒頭文だけ目にする機会があったが、それに痺れてしまった。
日常生活では絶対にお目にかかれない文章の美しさを感じてしまった。
気になる作品である。

その冒頭文だけを以下に紹介。
 山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。

夏目漱石「草枕」より



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2008年09月08日

スローグッドバイ / 石田衣良

book(2008/07/06〜)


スローグッドバイ (集英社文庫)



「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」。恋人にひどく傷つけられ、泣けなくなった女の子。彼女に青年の心は届くのか(「泣かない」)。上手に別れるため最後にいちばんの思い出の場所へいく。そんな「さよならデート」に出かけたふたりが見つけた答え―(「スローグッドバイ」)など普通の人たちの少しだけ特別な恋を綴った10篇。出会いから別れまでの一瞬一瞬をやさしく描く傑作短篇集。


石田衣良って人は、心がとても若い人だ。飲み屋で同年代から思い出話を聴いてるような気持ちになった。

短編一つ一つもかるーく読める。梅酒の水割りで酔っ払ったような気分だった。
印象に残ったのは、コールガールをしている女性の物語。
相手とホテルに入っていろいろ戯れる。話の最後は予想だにしないゆるさだった。


てか短編てのはやっぱりよほどの内容じゃないと後からなかなか想いだせんね。
長さを感じさせない短編的な長編が一番好み。

★★★☆☆☆☆

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2009年09月06日

ぼくんち


Comic


ぼくんち (ビッグコミックス)


Amazon.co.jp
「ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町で―/はしに行くとどんどん貧乏になる。/そのいちばん はしっこが/ぼくの家だ―」。腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。 from Amazone.jp




友人からの薦めで西原理恵子の『ぼくんち』を読んだ。

静かでありながら残酷で、そして優しい。
唯一無二な作品だった。こんなの見たことがない。


初めは画が稚拙で入りにくいのではと想ったが、画なんてものは
もともと伝えるためのツールだった。
中身がすごすぎて逆にシンプルな画がペーソスになっていた。

二太が住む町は、表面的にはこの上ない『終わりきった町』だ。
クスリ、盗み、やくざ、買春、貧困。実際の街で考えたらすぐに
イメージできるところ。

そこに生きている人々の生死と家族愛、幸せを随所に散りばめていて
キラキラ光った叙事詩にしている。

こりゃ、すごい。
友人の言うとおり、これは必読すべし。
きっと心が揺さぶられるところがあるはず。

毎週たった2ページのストーリーの連載の単行本だが、こんなに2
ページのストーリーでくるとは。。

お勧めです。


ちなみにアメコミの『ウォッチメン』をアマゾンで注文。
届くのが楽しみだ。


posted by Khaki at 15:00| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月29日

クレイジーヘヴン



book(2008/07/06〜)


クレイジーヘヴン (幻冬舎文庫)



旅行会社に勤め、ありふれた日常への疑問を抱えて日々を送る坂脇恭一27歳。冴えない中年ヤクザと同棲し、美人局の片棒をかつぐ元OL田所圭子23歳。ある時、圭子が恭一の同僚をカモろうとしたことから、二人は出会い、絶望の底なし沼へと転がり堕ちていく。揺れる心、立ち塞がる枠―やがて、境界線を跳び越えて走り出した二人が掴んだ自由とは。
  by amazon

垣根 涼介 (著)


傑作長編『ワイルドソウル』に続いて読んでみた。

ぶっとんだ作品だった。
とにかくセックス、セックス、セックス。
暴力、暴力、暴力。
くそみたいな世界と人間の中できらりと光るナイフのような作品。
ザックリ心臓に突き刺された。

汚い世界で最低の生活を送る圭子。
そんな世界を俯瞰でみながらクールに生きる恭一。

ワイルドソウルのようなまさしく傑作向きな作品ではなく、作家としての大きな流れの端となる作品。
スタンリー・キューブリックの素晴らしい作品群の中の「アイズ・ワイド・シャット」のよう。

何も考えず爽快感と目に浮かぶような激しいセックス描写をイメージしたいならどうぞ。


☆☆☆☆

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独白するユニバーサル横メルカトル

book(2008/07/06〜)

独白するユニバーサル横メルカトル


凝視せよ。ここにあるのは宝石だ。生理的嫌悪と、終わることのない暴力の果てに、名状しがたい感動が待っている、異形の物語たち。日本推理作家協会賞を受賞した表題作を含め8編を収録した短編集。

平山 夢明 (著)

この作家、かなりやばい。

今まで読んだ小説の中でも1、2を争うほど独創的な内容だった。
とにかく狂っている。そして気分が悪くなった。。

夢野久作の『ドグラマグラ』や、フランツ・カフカ『変身』、またはモンスター系のホラーや怪物が出る日本怪談が好きな人は好きかもしれない。

つまり『頭がおかしい人』や、『おかしい人はどんな人かを知りたい人』におすすめ。


『このミス』でNo1だったと聞いて読んでは見たものの、いい意味で期待を裏切られた。


短編集でどれも尋常の人間は存在せず、魑魅魍魎、あるいはモンスター、あるいは天才による奇行や、心情を表した作品。

文章は美しい。

人格化された上記の常軌を逸したキャラクターの心情を、美しい文体で描かれていて、相反する表現のギャップが面白い。

最高にキレイにデッサンされた最高に美しいクソのような。

「Ωの聖餐」、「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」、「独白するユニバーサル横メルカトル」が頭に残った。
このまま寝たらぶっ飛んだ夢を観てしまいそうだ。。

「BLAME!!」効果久々に登場か。


posted by Khaki at 00:28| 京都 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月04日

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ




■グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

デイヴィッド・ミーアマン・スコット (著), ブライアン・ハリガン (著),
糸井重里 (監修), 渡辺由佳里 (翻訳)

ちょろちょろ話題なってるね。_Amazonのチェックした本1位になったとか。

『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』を読みました。ライブの録音OK、録音テープ交換OKのバンドが売れまくって伝説化した理由について。フリーミアムとか会員向けプレミアムとか、IT系新規事業に役立ちそうな感じ。

当たり前といえば当たり前だけど、それを理論だてて、「例えばグレイトフルデッドはこんな感じで
やって実際に支持されましたよ。」ってことをつなげていきます。

著者が大ファンであることが読んでたら嫌ってほどわかる。愛情を感じる。
読んでて楽しげな感じで、新書とかのしょぼい、硬そうな本に比べたら、だいぶファンキーで
楽な感じで読めます。


posted by Khaki at 15:29| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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