2008年08月01日

チルドレン / 伊坂幸太郎

■チルドレン
伊坂孝太郎

book(〜2008/07/05)


チルドレン (講談社文庫 (い111-1))



こういう奇跡もあるんじゃないか?
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第1作!
短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。


人物描写が端折られすぎて感情移入できない。
ストーリー重視なのはわかるが逆転ホームランを狙っている感が強すぎて醒めてしまった。
『オーデュポンの祈り』、『陽気なギャングが世界を廻す』くらいの構成ボリュームがあったほうが伊坂作品はきっと面白い。
伊坂作品は、読後しばらくたったらどんな内容の話だったか一切忘れてしまうことが多い。
言葉遊びではない物語に期待。
本書はおれには合わなかった。

★★☆☆☆☆☆

『終末のフール』が面白いといううわさを聞く。読みたいが、だれか貸してください。
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2008年08月03日

痴人の愛 / 谷崎潤一郎

■痴人の愛
谷崎潤一郎

book(〜2008/07/05)


痴人の愛 (新潮文庫)



美少女ナオミの若々しい肢体にひかれ、やがて成熟したその淫蕩なまでの底知れぬ魅力のとりことなった譲治。奔放なナオミは譲治の背に跨って部屋中をめぐる。女の魔性に跪く男の焦燥と惑乱と陶酔を描く谷崎文学の傑作。
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いやー恐ろしい内容だった。明日はわが身とでも言おうか。

男がいかに女の愛欲に溺れて堕落していくかを描いた作品。
共感できるところも交えて表現されている。男が付き合ってる女の動向が心配で仕方がない様は、だれもがいつか経験したことあることだろう。

なおみも最初はどこか垢抜けない少女だったのに、どうしようもない女(おれにとっては一番嫌いなタイプの馬鹿っぽい女)に育っていく。成長ってのは怖い。

前半の同棲の描写は、あこがれてしまうおかしさがあって微笑ましい。
後半は、、、。美しい女の身体ってのはとてつもなく魅力的だ。


ぜひ女性に読んでほしい小説だ。男は大体同じ感想を持つと思う。
『わかるわかる』とか『こえぇ』とか。

ただ女性はわからない。男目線とは全く違うかもしれない。
女性はこの作品をどう想うのかがぜひとも知りたい。

女性諸君、一読されたらぜひ感想を教えてください。

★★★★★☆☆
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2008年08月04日

ワイルドソウル / 垣根亮介

■ワイルドソウル
垣根亮介

book(〜2008/07/05)


ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)

ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)


1961年、衛藤一家はアマゾンの大地に降り立った。夢の楽園と信じて疑わなかったブラジルへの移住―しかし、それは想像を絶する地獄の始まりだった。逃げ出す場もないジャングルで獣に等しい生活を強いられ、ある者は病に息絶え、ある者は逃散して野垂れ死に…。それがすべて日本政府の愚政―戦後の食糧難を回避する"棄民政策"によるものだと知った時、すでに衛藤の人生は閉ざされていた。それから四十数年後―日本国への報復を胸に、3人の男が東京にいた。未開の入植地で生を受けたケイと松尾、衛藤同様にブラジルを彷徨った山本。報道記者の貴子をも巻き込んだ用意周到な計画の下、覚醒した怒りは300発の弾丸と化し、政府を追いつめようとするが…。それぞれの過去にケリをつけ、嵌められた枠組みを打破するために、颯爽と走り出した男女の姿を圧倒的なスケールと筆致で描く傑作長篇小説。
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もう、完全ストライク。大傑作、大推薦!

とにかくジェットコースター小説。
まずストーリー展開。
前半の棄民政策の被害者たちの悲劇。これが生々しく目を覆いたくなるような描写が、後半の活劇での応援意識を思わせる。そしてスカッとさせるあの手この手。
警察組織との対決。マフィア組織との対決。特に最後の対決。。たまんねぇよ。垣根、あんたは。

キャラクターは敵味方共に魅力たっぷりで、飽きさせない。

★★★★★★★

最近文庫化された『クレイジーヘブン』を読んでみたい。
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2008年08月06日

慟哭 / 貫井 徳郎

■慟哭
貫井 徳郎

book(〜2008/07/05)


慟哭 (創元推理文庫)



連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。
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少女連続失踪事件を追うキャリア上がりの捜査一課長。組織の中でもがく主人公と、不可解に続いていく失踪事件。同時並行で語られるカルト教団にのめりこむ人々の物語。
後半、この二つの物語が紡ぐ事実は意外なところに進んでいった。

構成にまず脱帽。そしてバッドエンドっぷりに脱帽。。

★★★☆☆☆☆


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Last / 石田衣良

■Last
石田衣良

book(2008/07/06〜)


LAST (ラスト) (講談社文庫)



直木賞受賞第一作
崖っぷちの人間をダーク&ビターに書きました。ぼくの別な顔に、震えてください。――石田衣良
もう後がない!追いこまれた7人のそれぞれのラスト!
・LAST RIDE(ラストライド)……運転資金に苦しむ街工場主が闇金の返済期日にとった行動とは?
・LAST CALL(ラストコール)……零細企業のサラリーマンが旧式のテレクラで垣間見た地獄。
 ――ほか、全7篇。
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石田衣良の作品初めて読んだ。
ある友人の女の子に「面白いから」って話で教えてもらったのだが、なんともどれもこれもテーマが、『金がないorセックス』である。
まあその子らしいっちゃらしくてちいさく笑ってしまった。

とにかくどの短編の主人公もなにかしらの事情で追い詰められている。
その切り抜け方、あるいは屈服の仕方のエピソードだ。
多くは金、それ以外では人間としてである。
ハッピーエンドにした作品もあれば、最悪なバッドエンドの作品もあるが、それぞれにウィットと、意外性が味付けされていて「つまらない」という短編はなかった。

特にテレクラのやつとベトナムのやつが衝撃的だ。ネタばれだが、どちらもバッドエンドだが、読後呆然と考えさせられる面白い文章だった。

短編ですぐに読める作品ばかりでユーモアある書き方。
おすすめ。

★★★★★☆☆
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2008年08月07日

取り急ぎご報告まで


先日より大阪に帰ってまいりました!

夏はまだこの日の本を照らしているそうなので、ここぞとばかりに夏に走ります。

お見舞いに来てくれた皆様、
励ましのメールをくれた皆様、
陰ながら心配してくれた皆様、
本当にありがとうございます。
まだ完治ではありませんが、こっからリハビリに励みます。



長々と書いている小説のレビューは全部書き溜めてますがあえて小出しにしてますのであしからず。


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秘密 / 東野圭吾

■秘密
東野圭吾


秘密 (文春文庫)



妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な"秘密"の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇。
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出版はたしか高校生のときだ。映画は確か僕が高3の時だった。
映画を観たときは、「バスが転落する崖高すぎ!」とか、「広末かわいすぎる!」などが先んじて感じてしまって、そこまで内容は印象になかった。
何よりその頃おれは高校生だった為主人公平介の気持ちを理解できなかったのかも知れない。

原作を今回読んだ。
おれは平介のような考え、動きにはならないが、気持ちは痛いほどよく分かる。
終わりが近づくあたりでは少し涙が…。
男としてはやるせなさすぎる。


実際には(ほぼ)あり得ない境遇の中で、平介、直子の生活が始まる。
直子は自分が乗り移った娘の身体が成長し、小中高校の生活を大人の感覚で過ごすことに、どれだけ不可思議な感覚を覚えたのだろう。 
ある意味人生のやり直し。夫という存在と自分のパラドックス。

その生活が長くなるにつれ感覚が昔の時代に若返っていくのを感じ、平介にどんな思いを持ったのだろう。

あと最終的な『秘密』の意味を考える。ここが当時の話題をかっさらったのだろう。
もっとハッピーエンドにしてほしかったってのが正直な気持ち。。
日本全国の男がそう思ったに違いない。


誰しも、昔に戻りたいと思うことがあると思う。
自分ひとりで戻るなら、だれも他に傷つかないが、伴侶が現代に残されるとしたら、戻った者を想う残された者の焦り、不安は計り知れない。


細かくは後に読む人の為書かないが、ただ間違いなく本著は傑作だ。

ストーリー展開、キャラクターの絡み、心情を伝える表現。
どこか安心して読める。映画観た人も読みなおして楽しいと想う。
(この世の中、安心できない文章を書く作家もいる。)

東野作品は初めて読んだが是非他も読んでみたくなった。
「容疑者]の献身」が文庫化されたな〜

★★★★★★☆


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2008年08月08日

となり町戦争 / 三崎亜紀

■となり町戦争
三崎亜紀


となり町戦争 (集英社文庫)



天才現わる!? 見えない戦争を描いた衝撃作。
ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。だが変わらぬ日常に、僕は戦時下の実感が持てないまま。それでも"見えない"戦争は着実に進んでいた。「清澄な悪夢」「傑作」と選考会騒然の衝撃作!
第17回小説すばる新人賞受賞作。
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本屋で適当にラフな感じのを読もうと思い手に取った本作。
後から気づくが、今回の直木賞にノミネートされている作家だった。
期待大で読み始めた。


・・・一切読む価値なし。クズ小説である。上記の煽り文章に憤慨だ。
筆者が、テレビでやっている戦争ニュースを観ながら想ったことを垂れ流しているだけ。
何もかもがグダグダで小説としてちっとも面白くない。
1ナノも共感できない内容。

「リアリティのない現代の戦争」を描きたいのだろうが、「リアリティのない現代の戦争」をリアルに描けていなければそりゃ伝わらない。
終始ストーリーも無く、伏線も無く、行き当たりばったりでありきたりの出来事、描写が続く。
説教じみているのに思想がなく何を言いたいのかがわからない。飽き飽きした。

語り手(主人公)が悪いからだろう。
なによりも主人公になんの魅力もない。

出てくるヒロイン(慰安婦扱い)の考えがわからないといった様相の主人公の想いはさらにわからない。というか無いのだ。

・急に言われも無い、となり町との戦争の為に出兵要請があって、なぜ理解して普通に要請を受けるのか。
・なぜなんの反論も無く、町から言われたとおりの行動を起こすのか。
・一体ヒロインのどこに惚れたのか。全く描写が無い。

終始『なんやねん!』の波が押し寄せてくるのだ。

読んでいて、あまりのグダグダで途中から腹が立ってきた。
なぜこんなものに数百円と約3時間を費やしたのかと。

アマゾンのレビューによれば、これが『当時の芥川賞だろう』といった感想を持つ人もいたようだが、その気持ちが全くわからない。センスが合わない。

傑作、東野圭吾著『秘密』の後に読んだのも災いしたのかもしれない。
ただ、クソな作品であることは間違いない。

☆☆☆☆☆☆☆ クソ
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2008年08月10日

幕末 / 司馬遼太郎

■幕末
司馬遼太郎

book(2008/07/06〜)


幕末 (文春文庫)



歴史はときに血を欲す。暗殺者も凶刃に倒れた死骸も、共に我々の歴史的遺産である。幕末の十二の暗殺事件を見直した連作歴史小説
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幕末乱世の中、攘夷を掲げた倒幕派による要人暗殺が横行した。本書は暗殺に纏わる短編集である。

幕末好きにはたまらない内容だ。
高杉晋作、坂本竜馬など幕末のヒーローがいる裏側に、人を斬りまくった人間がいるのだ。
とてつもなく剣の腕が立つ男。その男をどうやって切るのか?
互いの思惑が交差するエピソードもあれば、一発逆転の奇策を打って出るシナリオもある。

幕末きっての策士清河八郎の暗殺や、勤王派を弾圧しまくった大老井伊直弼の暗殺(桜田門外の変)、とにかく情景が浮かぶ。
後家鞘の彦六、陸奥宗光のくだりは、江戸を生きる人々の人間模様が描かれている。深くは書かないが世は無常なことや、どこにチャンスがあるかわからないことを教えてくれる。


今更ながら、司馬遼太郎って作家は、日本史上最高の作家の1人に違いない。
とにかく人物が生き生きと描かれていてめちゃめちゃ面白い!

司馬遼太郎は、作品を書く際に、とてつもない量の文献で情報の裏づけを行ったそうだ。
たとえば、新撰組の土方を描いた「燃えよ剣」執筆時には、関連文献を徹底的に読むためにトラックいっぱい本を買っていき、神田の本屋にある新撰組関連の文献が一切なくなったという伝説があるらしい。
その根性には恐れ入ります。。すげーわ。


新渡戸稲造「武士道」よりもより現実的、どろどろな武士道。
男の生き方の参考に。

★★★★★☆☆
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2008年08月11日

クライマーズハイ / 横山秀夫

■クライマーズハイ
横山秀夫

book(2008/07/06〜)


クライマーズ・ハイ



85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。

北関東新聞の記者・悠木は、同僚の安西と谷川岳衝立岩に登る予定だったが、御巣鷹山の日航機墜落事故発生で約束を果たせなくなる。一方、1人で山に向かったはずの安西は、なぜか歓楽街でクモ膜下出血で倒れ、病院でも意識は戻らぬままであった。地方新聞を直撃した未曾有の大事故の中、全権デスクとなった悠木は上司と後輩記者の間で翻弄されながら、安西が何をしていたのかを知る――。実際に事故を取材した記者時代の体験を生かし、濃密な数日間を描き切った、著者の新境地とも言うべき力作。

若き日、著者は上毛新聞の記者として御巣鷹山の日航機事故の 現場を取材しました。18年という長い時を経て初めて、その壮絶な体験は、 感動にあふれた壮大な長編小説として結実しました。それが本作品です。

――記録でも記憶でもないものを書くために、18年の歳月が必要だった。
横山秀夫


読後感最高の傑作。ワイルドソウルとともにKhakiの推薦図書です。

男の熱き戦い。それは史上最悪の飛行機墜落事故現場、新聞社内編集局、販売局など、様々な部署のプライドのぶつかり、当然組織の上とのぶつかりも。

気付けば本書を持つ手が汗で濡れていた。

とにかく息をつかせぬ描写である。とくに社内での攻防の緊迫感が尋常じゃない。著者自身が記者生活が長かったからだろう、リアリティーがすごい。

そして主人公、悠木の社内での動きかたは、ビジネスマンとして見習うところがあり憧れもある。

保守と権力に憑かれた上層部に己の想いで、噛みつく。その姿は狂犬だか、慕いたくなる強さを感じた。


凄惨な事故に関わる人、メディアに関わる人の人間模様、クライミングを想う人、そして家族。織り成すストーリーは怒涛の展開をみせる。

横山秀夫はやばい。他の作品は『半落ち』しか読んでいないが、男の強さと緊迫感をやばいリアリティで描く。


映画化はすでに公開されており、主演は堤真一。
ドラマ化も決定している本作品。
こちらの主演は佐藤浩市。
どちらもはまりすぎている!
ぜひともチェックしたい。
★★★★★★★
posted by Khaki at 20:02| 京都 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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